Essay

竹修業グリーンランドひとり旅

 ある日、ふっと思ったのです。
美しい竹林を描こう、一本一本きれいな竹を描こうと思う気持ちが前に出すぎて、本当の竹の色が描けていないのではないか?と。
 一生、竹絵描きとしてこだわっていくならば、竹を素直に見る事の出来る目と心を持たなくてはいけない。
感じたままの姿を素直に表わす事の出来る子供の目、子供の心を持ち続けていかなくてはいけない ――。
氷山 そして今よりも、もう一皮むけたい。
もっと竹を素直に見たい、描きたい。
それには、どうしても発想の転換が必要だ。
心を無の状態にしたい。
ひょっとしたら色のない世界に行ったら竹の色が鮮明に見えるかもしれない。
そうだ。色のない世界――北極か南極。
どうせ行くなら、地球の頭に行こうと思い、北極行きを決心しました。
エスキモー 地球の地軸の頂点、色のない世界で、絵と自分自身を見つめ直してみたい。そう思ったら矢もタテもたまらず、いろいろな資料を調べ、あちこちツテをたどり、めざした所が、世界最北のエスキモーの村、「シオラパルク」だったのです。ここはデンマーク領なので、デンマーク大使館に申請をし、またアメリカの基地がある為、特別の許可証が要るので、その手続きにとおおわらわでした。そして、ついに念願がかない、平成3年6月30日、成田空港を出発、7月30日まで約1ヵ月間、グリーンランドの生活体験をして8月3日帰国しました。

 
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