ある日、洛西の竹林に題材を求めて何度目かに行った時に、 たまたまその時の自分の心境と竹林の持つ様相とがピタッと一致したんです。 孟宗竹を見た時に「あっこれや!」と思いました。 要するに私は顔で笑って心の中では「負けたくない」と思っていますから、 それが竹のイメージとスライドしたんですね。 孟宗竹って太くて逞しくて天に向かって真っ直ぐに延びてますよね。 そして地下茎は土の中にびっしりはびこってコンクリートさえも 割って出てきてしまう程の生命力。 そしてどんな時でもスキッとしていてどんな時でも顔に出さず 凛々としている外見が自分に見えたんです。 竹の外見に自分の姿、地下茎に自分の精神を感じました。 「私は竹、竹は私」。 それ以来ずっと竹を描き続けています。 でもその時は竹の事は何にも知らなかったんです。 太い竹と細い竹、そして竹の子ぐらい。 最初に出会ったのが孟宗竹と言う事も後で知りました。 「それじゃあ竹に申し訳ないなぁ」と竹の分類や構造も勉強したくて 本を買ったり、勉強会にも参加したり。
それからちょっとずつ理解を深めて行きました。 そのほか竹にまつわることわざ、神や仏には必ず竹が登場すること、 全国の民話にはたくさん竹が登場することなども勉強しています。 そうすると今度は「竹取物語」がテーマになったりして、 これも結構面白いですね。 一回しかない人生。 思いっきり自分にこだわりたい。 やっぱり運命だったん ですね、竹との出会いって。 |